医師のタスクシフト /タスク シェアと診療放射線技師・臨床検査技師のこれからの業務内容

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医師のタスク・シフト/タスクシェアとは?それぞれの違い

医師のタスクシフト(タスクシフト)とタスクシェア(タスクシェア)は、医療の分野では異なる概念ですが、しばしば混同されることがあります。以下に、それぞれの概念についてお話します。

 

●タスクシフト

タスクシフトは、一般的には医師が行うべき一部の医療業務やタスクを、訓練を受けた他の健康専門職や非専門職に委託するプロセスをいいます。タスクシフトは、医師の専門的な能力を最大限に活かし、同時に他の健康専門職がそれぞれの専門領域で貢献できるようにすることで、医療の効率性やアクセスを向上させることを目的とします。

 

●タスクシェア

タスクシェアは、異なる医療専門職で医療業務を共有することを言います。これには、医師、看護師、薬剤師、理学療法士などが、互いに協力して患者のケアを行うイメージです。
タスクシェアの目的は、各専門職がそれぞれの専門知識を活かし、連携して総合的かつ効果的な患者ケアを提供することで、医療サービスの質を向上させることが期待されます。

 

タスクシフトは特定の業務やタスクを他の特定に移譲するプロセスを意味し、タスクシェアは異なる専門職が協力して医療業務を共有するプロセスを意味します。

 

タスクシフト/タスクシェアが必要とされる背景

タスクシフト/タスクシェアは、医師の負担を軽減し、労働時間を削減する施策として、医師の働き方改革において重要な鍵を握っています。

医師の働き方改革が2024年から適用される中、医師の労働環境改善は喫緊の課題で、「医師の働き方改革」ではタスクシフト/タスクシェアが焦点とされています。具体的には、医師の時間外労働は月45時間、年360時間原則として、特別条項付きの36協定を締結するした場合に限り、月100時間、年960時間までの時間外労働が認められます。

 

▼時間外労働時間の上限

年間 月間
原則 年960時間 月100時間未満
A水準 年960時間 月100時間未満
B水準・C水準 年1860時間 月100時間未満

 

医師を増やす方法も考えられますが、医師の採用には時間がかかり、医師の働き方改革までの時間も限られいるため、タスクシフト/タスクシェアが求められています。これにより医師の労働負担が軽減され、改革が効果的に進められることが期待されます。

 

⇒「医師の働き方改革」とは?

 

タスクシフト/タスクシェアのメリット

タスクシフト/タスクシェアは、職種に関わらず推進を意識することで大きなメリットがあります。

医療人材の労働環境改善から、結果として医療の質の向上につながることになり、患者へもメリットを享受することができます。

 

1.人手不足の解消に役立つ:
タスクシフトにより、スタッフ枠がより多くの業務を担当でき、人手不足問題が解消されることが期待される。業務の分散や効率の向上により、医療機関がより少ない人員で多くの業務をこなせるようになります。

 

2.長時間勤務が認められる:
タスクシフトにより業務効率が向上することで、長時間勤務が改善され、医師の疲労から解放される。チームとしての医療体制が実現し、より健康な労働環境が確保される。

 

3.医療の質が上がる:
タスクシフトにより、医師が専門的な業務に集中できるため、医療の質が向上する。
薬剤師や看護師が業務の増加により、医師の疲労軽減と質の高い治療が期待される。

 

4.人材不足の解消:
タスク・シフト/シェアは医師だけでなく、他の分野の人材でも医療業務を担えるようにするため、人材不足の解消が期待される。多方面の連携により、業務の分担と協力が可能となり、より効率的な医療の提供が期待される。

 

5.長時間労働の内容:
医師に集中していた業務を他の一時へ移管することで、長時間労働のアレが期待される。
業務の分担により、医師の労働時間が削減され、労働環境が改善される。

 

6.医療の質の向上:
タスク・シフト/シェアにより、医師が専門的な業務に専念でき、医療の質が向上する。
長時間労働のおかげで、医師の疲労軽減が期待され、質の高い治療が提供される。

 

タスクシフト/タスクシェアで広がる臨床検査技師の活躍の場

法改正により、2021年10月から診療放射線技師・臨床検査技師の業務範囲が拡大されました。

 

1.診療放射線技師の拡大する業務範囲

・検体採取の追加行為

医療用吸引器を使用して鼻腔、口腔、または気管カニューレから喀痰をする採取行為。
内視鏡用生検査子を使用して消化管の病変部位の組織の一部を採取する行為。
※これらの行為は医師または歯科医師の特定的な指示の下で臨床検査技師が行う必要がある。

 

・生理学的検査の追加行為

運動誘発電位検査、身体性感覚誘発電位検査、持続皮下グルコース検査、直腸肛門機能検査が臨床検査技師によって実施可能となった。
これらの検査も医師または歯科医師の具体的な指示の下で行われる。

 

・採血や検査に関連する新たな行為

採血を行う際の静脈路確保とヘパリン加生理食塩水の充填、静脈路に点滴装置を接続する行為(電解質輸液の点滴に制限する)、静脈路造影剤注入装置を接続する行為。
※これらの行為も医師または歯科医師の具体的な指示を受けて行われる。

 

2.新たな行為に関する研修

2022年4月1日前に臨床検査技師の免許を受けた者や、同年度に臨床検査技師国家試験に合格した方に対して、新たな業務範囲に追加された行為を行う際には、厚生労働大臣が指定する研修を受講する必要があります。
これに加えて、臨床検査技師養成課程を履修し、国家試験を受験する方も同様の研修を必要とします。
厚生労働大臣が指定する研修は、基礎研修と実技講習があり、日本臨床衛生検査技師会が実施する予定です。

 

※参考:日本臨床技師会HP

厚生労働省HP

 

タスクシフト/タスクシェアで広がる診療放射線技師の活躍の場

1.診療放射線技師の拡大する業務範囲

・造影剤を使用した検査やRI検査のために静脈路を確保する行為、RI検査医薬品の投与が終了した後に抜針及び止血を行う行為

・RI検査のためにRI検査医薬品を注入するための装置を接続し、当該装置を操作する行為
・動脈路に造影剤注入装置を接続する行為(動脈路確保のためのものを除く)、動脈に造影剤を投与するために造影剤注入装置を操作する行為

・下部消化管検査(CTコロノグラフィ検査を含む)のため、注入した造影剤及び空気を吸引する行為

・上部消化管検査のために挿入した鼻腔カテーテルから造影剤を注入する行為、当該造影剤の投与が終了した後に鼻腔カテーテルを抜去する行為

・医師又は歯科医師が診察した患者について、その医師又は歯科医師の指示を受け、病院又は診療所以外の場所に出張して行う超音波検査

 

タスクシフト/タスクシェアの課題

 

人材育成の課題

医師以外の医療従事者へ専門の業務を移管するため、確率された指導方法と研修が必要となります。
指導・検収不足により業務品質のバラツキが患者の不安感を生む可能性を防ぐ必要があります。

 

人手不足の課題

業務の移管先となる医療従事者の多忙さや、人手不足や研修受講にかかる時間・労力により、移管が進まない可能性があります。

 

意識的な課題​​(緊急性と重要性の認識不足)

タスクシフト/タスクシェア導入の背景や、緊急性・重要性が現場に理解されないことがあります。
制度面への理解が不足しているため、実行に踏み切れない場合もあります。一部では、医師が行ってきた業務を多方面に広げることを懸念する声も存在しています。

 

まとめ

タスクシフト/タスクシェアによる臨床検査技師・診療放射線技師の業務拡大については
臨床検査技師会・日本診療放射線技師会による講習の受講が必要となることもあるため、よく臨床検査技師会HP・日本診療放射線技師会HPを確認してみましょう。

タスクシフト/タスクシェアについては、医療従事者全ての職種を超えた協力が必要です。
タスクシフト/タスクシェアの実現による、医師や医療従事者にとってのより良い勤務環境は、患者への医療の質へと繋がっていきます。

 

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