『大腸CT』の”撮影”における注意点

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今回は、『大腸CT』の撮影について、一般的なCT撮影との違いを比較しがらな解説します。

※大腸CTは、日本で普及し始めてまだ歴史が浅いため、検査方法やガイドラインの統一性はまだ乏しく、施設によっても手法に違いがあります。
あくまでご参考に留めていただけますと幸いです。

 

【大腸CTの解説については、こちらをご覧ください】

大腸CT検査(CTC)について解説

 

 

造影剤:

大腸CT撮影

大腸CTでは、造影剤の均等な分布が診断の正確性に直結します。造影剤は経口投与し、大腸内の異物(食物)を判別できるように分布させます。

造影剤を均等に分布させるためには、造影剤の量や流れを慎重に確認する必要があります。不均一な分布は診断の誤りを引き起こす可能性があるため、患者の体位変更や追加の造影剤投与が必要になることがあります。

 

一般的なCT撮影

一般的なCT撮影では、造影剤は通常、静脈内に注入します。これにより、血管や臓器の構造が強調され、病変を識別しやすくなります。この場合、造影剤の均等な分布は主に血流に依存し、大腸CTと異なり、患者の体位変更や追加の投与による調整は基本的には行いません。

 

 

撮影範囲の設定:

大腸CT撮影

大腸CTでは、大腸全体を正確に捉えることが極めて重要です。撮影範囲が不十分ですと、大腸の一部が画像に含まれず、重要な病変を見逃す原因となります。また、撮影前のスカウトビュー(概観撮影)を用いて、撮影範囲を正確に設定します。これにより、大腸全体が均一に画像化され、診断の精度が向上します。

 

一般的なCT撮影

一般的なCT撮影では、撮影範囲は対象となる臓器や病変の位置に基づいて設定します。大腸CTほど広範囲設定を行うことは少ないですが、対象となる臓器や病変の位置により臨機応変に対応する必要があります。

 

 

腸管コントラストとスライス厚:

大腸CT撮影

大腸CTでは、腸管コントラストと薄いスライス厚が求められます。これにより、小さなポリープや微細な病変も検出可能になり、より正確な診断が可能となります。特に、1mm以下のスライス厚が推奨されることが多いようです。

腸管コントラストを保持しつつ薄いスライス厚で撮影を行うとデータ量が増加しますので、画像処理時間が長くなります。

 

一般的なCT撮影

一般的なCT撮影では、撮影対象と目的に基づいて撮影範囲やスライス厚が調整されます。

大腸CTほど薄いスライス厚が必要とは限らず、大きな腫瘍や結節、病変を捉えるために厚めのスライスが使用されることもあります。

 

 

多方向撮影:

大腸CT撮影

大腸CTでは、患者の体位を変更して多方向からの撮影が行われることが一般的です。これは、大腸内の異物などに埋もれてしまうポリープなどの病変を検出するためです。例えば、患者様を仰向け、うつ伏せ、時には側臥位にして撮影することで、大腸の全周をまんべんなく観察できます。

 

一般的なCT撮影

体位の変更による多方向からの撮影は基本的には必要ではありません。撮影は通常、患者様が背中を下にして横になった状態で行われます。

腸管内の様に移動する物質(食物)がないので、複数の体位からの撮影は必要とされないことが多いです。

 

 

画像の再構成:

大腸CT撮影

大腸CTでは、特に高品質な画像が求められるため、詳細な再構成アルゴリズムが必要となります。例えば、ポリープ検出のための精密な3D再構成や、ノイズ低減技術が含まれることがあります。これらの再構成アルゴリズムによって、大腸の複雑な形状と構造を明瞭に描出し、診断の精度を向上させます。

一般的なCT撮影

一般のCT撮影では、再構成アルゴリズムは撮影部位や診断目的に応じて選択することになります。例えば、脳CTや胸部CTでは、それぞれの臓器や病変に最適化されたアルゴリズムが選ばれます。一般的なCTでは、大腸CTほどの高解像度や細かい再構成は必ずしも必要ではありませんが、それでも適切なアルゴリズムの選択は重要です。

 

 

その他の注意点

コントラストの調整:

大腸CTでは、通常のCT撮影よりもコントラストを細かく調整する必要があります。特に、腸管内の病変と正常組織とのコントラストを明確にすることが重要です。適切なコントラスト設定により、病変の検出率が向上し、診断の精度が高まります。

 

放射線量の管理:

画質を高めるために高解像度の画像を取得しようとすると、放射線量も増加する傾向があります。撮影の際には、放射線量を最小限に抑え、被ばくリスクを低減したいところです。放射線量を適切に管理するためには、撮影パラメータ(例えば、管電圧や管電流)の最適化、画像再構成技術の活用などが有効です。

 

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