画像診断管理加算とは?放射線科医の仕事への影響も解説

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放射線科でよく耳にする”画像診断管理加算”という言葉、何となくは分かるが詳しくは知らないという方も居るのではないでしょうか。

 

画像診断管理加算を理解すると、自分の仕事への影響のみならず、放射線科の日本の医療制度の中での位置づけや、今どのような課題があるのかなども見えてきます。

 

今回の記事では、そんな画像診断管理加算について基礎から最新の診療報酬改定まで含め解説していきます。

 

日本の診療報酬制度

画像診断管理加算を理解するには、まず日本の診療報酬制度について知る必要があります。

 

日本は国民皆保険制度であるため、すべての国民が公的医療保険に加入し、誰もが必要な医療サービスを受けられるようになっています。診療報酬制度は、日本の公的医療保険制度下で医療機関が提供するサービスに対する報酬を定めるシステムです。この制度では、診療行為や医療サービスが点数化され、1点を10円として全国一律で評価されます。

 

診療報酬は原則2年に1回改定され、中央社会保険医療協議会(中医協)での審議を経て決定されます。改定では医療の進歩や社会情勢、経済状況などが考慮されます。直近では、2024年6月1日に2024年度の診療報酬改定が施行されました。

 

診療報酬制度により、日本では全国どこでも同じ基準で医療サービスを受けられる体制が整えられています。また、定期的な改定を通じて、医療の質の向上と効率化、そして医療費の適正化が図られています。

 

画像診断管理加算の概要

画像診断管理加算は放射線診断専門医による適切な画像診断体制の確保と、その質の向上を目的として1996年に創設され、その後の診療報酬改定で増点が行われてきました。

 

画像診断管理加算には、以下のような意義があります。

 

放射線診断専門医による適切な画像診断体制の確保

・画像診断管理加算の算定には、放射線科を標榜し、放射線診断専門医が常勤で配置されている必要がある

・これにより、適切な知識と経験を持つ専門医による画像診断が行われることが担保される

 

画像診断の質の向上

・放射線診断専門医が画像診断を行い、その結果を主治医に適切に報告することで、診療の質が向上する

・検査前の画像診断管理も行い、適切な撮像法やプロトコルを決定することで、検査の質も向上する

 

医療機関の体制整備の評価

・適切な画像診断体制を整備している医療機関が評価される

・患者に質の高い画像診断サービスを提供できる体制が確保される

 

画像診断に関わる保険点数

CTやMRIを撮像した場合の保険点数は、以下のような要素で算定されます。

 

1.コンピューター断層撮影料

2.コンピューター断層診断料

3.造影剤使用加算

4.電子画像管理加算

5.画像診断管理加算

6.先進技術料(冠動脈CT加算、外傷全身CT加算、etc.)

 

このうち、コンピューター断層診断料および画像診断管理加算がいわゆる”読影料”にあたる部分となります。

 

例えば、CTを管理加算2の施設で撮像した場合の保険点数は:

コンピューター断層撮影料(450点)+コンピューター断層診断料(450点)+造影剤使用加算(なし)+電子画像管理加算(120点)+画像診断管理加算2(175点)+先進技術料(なし)=1195点 =11950円

 

となります。

 

画像診断管理加算の算定用件

画像診断管理加算はどのような時に算定できるのでしょうか。

 

画像診断管理加算は1から4まであり、それぞれの施設基準を満たし届け出を行った医療施設で、放射線診断専門医が読影を行った場合に算定できます。また、一定の条件を満たせば遠隔読影での画像診断管理加算の算定も可能です。但し、この場合の遠隔読影とは保険医療機関同士が連携して行う遠隔画像診断を指し、企業が提供する遠隔画像診断サービスとは異なります。

 

画像診断管理加算1から4のそれぞれの施設基準と点数は以下の表のとおりです。

画像診断加算

 

2024年度診療報酬改定のトピック:画像診断管理加算3の追加

2024年度診療報酬改定に関して、画像診断領域では画像診断管理加算3が追加されたことが話題となっています。

追加の理由として、以下のような背景があります。

 

地域の中核病院等の画像診断は、より専門的な知識が必要であることや夜間休日の迅速読影などの対応などにより、複数の放射線科専門医での体制が求められるが、現状、診療報酬上は一般病院と同様の画像診断管理加算2での評価となっている。結果、画像診断管理加算2も算定しなかったり、夜間休日対応等も進まない。画像診断管理加算2と3の間の点数を創設し、中核病院等の医療機関に対し適切に専門医を雇用するインセンティブを与えることが必要である。

※医療技術分科会(2023年11月20日)公開資料より


このように、画像診断管理加算3が追加されたことにより今後地域の中核病院などで夜間休日の読影体制やAIの活用などが進むことが期待されます。

 

画像診断管理加算の届け出はどれぐらいの施設が行っている?

医療技術評価分科会(2023年11月20日)公開資料によると、以下のような割合となっています。(管理加算3は現在の加算4相当です)

画像診断管理加算施設割合

 

届出施設のなかでは、画像診断管理加算2が最も多く病床数が増えるにつれ割合が増えます。

 

病床別に見ると、200~299床では届け出施設のうち、約5割が画像診断管理加算2となっており、

500床以上の施設では、画像診断管理加算2が約6割を占める反面、2割程度は”加算1”か”取得なし”となっています。

 

参照)厚生労働省 診療報酬調査専門組織(医療技術評価分科会)令和5年度第1回 資料P.61より

 

 

画像診断管理加算は放射線科医の仕事にどんな影響がある?

画像診断管理加算3を取得している施設は限られており、放射線科のドクターがよく出会うのは画像診断管理加算1と2の施設という事になります。

 

画像診断管理加算2以上は翌診療日までの8割以上の読影を求められるようになるので、これが放射線科医の先生にとって負担となる場合があるようです。特に読影量に対して読影医の人数が足りていないと、誰かが体調不良や学会参加のため不在の際に残業が生じるようになったり、逆に自身も休暇を取りづらくなったりする可能性があります。

 

一方で、読影があたえるインパクトは診療の面でも病院収益の面でも加算1とくらべて加算2の施設では大きくなるので、仕事のやりがいとしては大きくなります。

 

上記のように、画像診断管理加算の何を取得している施設かで放射線科医の仕事の質と量が変わってくるので、自分が求める働き方と相談して病院を選ぶことが重要です。

 

画像診断管理加算のこれからの展望

2024年6月に診療報酬改定が施行されたばかりなので、2026年度改定でどのような改定が行われるのかは今後議論が行われていきます。

 

ただ、2023年の医療技術評価分科会で加算2施設基準へのAI精度管理の追加と増点の要望が出されていることや、今後も画像診断におけるAIの活用が進んでいくと思われることから、AI関連の改定は注目すべきポイントの一つと思われます。

 

まとめ

画像診断管理加算は、日本の診療報酬制度において、放射線診断専門医による適切な画像診断体制の確保と質の向上を目的とした制度です。1から4までの区分があり、医療機関の体制や専門医の配置状況に応じて点数が設定されています。2024年度の改定では加算3が新設され、今後中核病院等での夜間休日読影体制やAI活用の促進が期待されています。

 

 

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