DWIBS(ドゥイブス)とPET-CTの違いを解説
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DWIBS(ドゥイブス)とPET-CTは、どちらも一度に全身のがん検査が出来る手法です。
しかし、どちらの手法もすべてのがんを発見できるわけではありません。それぞれのメリット・デメリットを把握し、適した方を選択する必要があります。
今回は、DWIBSとPET-CTは何が異なるのか、どのような患者に向いているのか、などそれぞれ比較しながら解説します。
DWIBSとPET-CTの相違点【一覧表】
使用するモダリティと検査方法
DWIBSはMRI、PET-CTはCTを用いて検査を行います。
●DWIBS
DWIBSは電磁気を受信者の体に照射し、全身を検査する方法です。正常な細胞は、細胞同士の間隔が広く水分の流動性が高いのですが、がん細胞は間隔が狭く水分の動きが遅くなるという性質があります。MRIで撮影した画像から、この水分の動きを確認し、がん細胞を探します。
検査前の食事制限や投与は必要なく、医療被ばくの負担がないことが特長です。
●PET-CT
PET-CTは、がん細胞の持つブドウ糖を取り込む性質を利用した検査方法であり、検査前に18F-FDGと呼ばれるブドウ糖に似た検査薬(放射線物質)を注射し、がん細胞がその薬を取り込む様子を撮影することで、がんを発見する方法です。
そのため、PET-CTでは検査前の食事制限があり、薬剤投与も必要、そして医療被ばくの負担があります。
検査時間
●DWIBS
DWIBSの検査はおよそ30分~1時間で終えることが多いです。
●PET-CT
PET-CTは、検査前にFDG検査薬を注射した後、全身に検査薬が渡るまで1時間ほど安静にする必要があります。また、検査後も放射線物質を減衰させるために30分~1時間安静にしなければなりません。よって、トータルで必要な検査時間が3時間以上にも及ぶこともあります。
医療費の相場
●DWIBS
5万円~8万円程が相場と言われています。
●PET-CT
10万円前後が相場と言われています。
検査が出来ない条件
●DWIBS
DWIBSはMRIを用いた検査であり電磁気を利用します。よって、体内に金属プレート、ペースメーカー利用、タトゥーがある場合はDWIBS検査を受診することが出来ません。
●PET-CT
PET-CTは放射線被ばくの負担があるため、妊娠中の方、腎臓疾患がある方は受診不可です。また、FDG検査薬がブドウ糖と似ているため、血糖値が高い方、糖尿病治療中の場合は正確な検査結果を得られない可能性があるため、医師と要相談となります。
発見しやすいがん、発見しにくいがん
●DWIBS
DWIBSは、大腸がん、膵臓がん、肝臓がん、胆嚢がん、乳がん、悪性リンパ腫などの診断に向いており、特に尿路系のがん(腎がん、尿管がん、膀胱がん、前立腺がん)の診断において力を発揮します。逆に、肺がんや食道がんにはあまり向いているとは言えず、胃がんの診断には不向きです。
●PET-CT
PET-CTは、肺がん、大腸がん、膵臓がん、乳がん、悪性リンパ腫などの診断を得意としています。しかし、胃がん、胆嚢がん、食道がんには不向きであり、検査薬18F-FDGを排出してしまう膀胱がんは検査不可とされています。
まとめ
今回は、全身がん検査方法であるDWIBSとPET-CTの違いを比較し、解説しました。どちらの検査方法にも向き不向きがありますので、それぞれのメリット・デメリットを把握し、最適な検査方法を選択する必要があります。
▼DWIBS検査の解説についてはこちら
📚参考サイト
人間ドックなび(https://www.docknet.jp/media/pet-6/)
八王子クリニック(https://hachicli.or.jp/dock/dwibs.html)
人間ドックのミカタ(https://www.mrso.jp/mikata/862/)
東京西徳洲会病院 放射線医学センター(https://www.tokyonishi-hp.or.jp/section/radiology/5/)
日本放射線科専門医会・医会(https://www.jcr.or.jp/fee_web/2020/1_appendix.pdf)