DWIBS(ドゥイブス)検査について解説

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PET-CTに代わる次世代の全身がん検査、DWIBS(ドゥイブス)

体への負担も軽く、短時間で広い範囲の検査ができることで知られています。

今回は、このDWIBS検査について、検査方法や診断できる疾患、受診出来ない患者の条件、保険適用、利点と欠点など、情報を整理しました。
(参照元は記事下部に記載)

 

 

 

DWIBS(ドゥイブス)検査とは

DWIBS(Diffusion-weighted Whole body Imaging with Background Suppression)検査は、MRIを用いた「全身のがん検査」です。『悪性腫瘍は細胞密度が高い』という性質に着目した検査方法として、日本の医師である高原太郎先生によって開発されました。細胞密度が高いと、細胞間の水の動きが鈍くなるのですが、この性質に対し拡散強調像という撮影方法を用いて悪性腫瘍を見つけ出す検査となっています。

 

※同様の全身のがん検査としてPET-CTがあります。DWIBS検査が細胞密度の高さに着目した検査であることに対し、PET-CTは悪性腫瘍のエネルギー代謝(糖代謝)の高さに着目した検査であり、原理が異なります。

 

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DWIBS検査で診断できる疾患

DWIBS検査は、大腸がん、膵臓がん、肝臓がんなどの診断に向いており、特にPET-CTが不向きとされる尿路系のがん(腎がん、尿管がん、膀胱がん、前立腺がん)の診断において力を発揮します。

逆に、胃がん・肺がんの診断にはあまり適していないとされています。そのため、胃がん・肺がんの検査時には、胃部検査を含む人間ドックや、胸部CTとの併用受診が推奨されています。

 

DWIBS検査の精度

DWIBS検査は、比較的新しい検査法であるため精度についてはまだデータを蓄積中の段階ですが、PET-CTと比較して「診断能力に大きな差異はない可能性が高い」という報告があります。(参考論文:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24355655/

そのため、DWIBS検査の有用性と受診者への負担の少なさから、取り入れる施設が増加しています。

また、DWIBS検査で発見されたものは全てがんとは限らず、正常組織や炎症なども感知して検出されることがあります。そのため、他の検査結果と総合してがんか否かを判断することや、精密検査や経過観察が必要な場合もあります。

 

DWIBS検査を受診出来ない人

DWIBS検査は、電磁気を照射するMRI装置を使用しますので、体内に金属製のプレートや心臓ペースメーカー、人工内耳などを装着している人、また刺青がある人は検査を受けることが出来ません

 

DWIBS検査の所要時間

DWIBS検査は通常のMRI検査より少し長めで、所要時間は約30分~1時間程度です。

 

DWIBS検査は保険適用できるのか?

人間ドックのオプションとしてDWIBS検査を受ける場合、原則保険適用外となり全額自己負担となります。ただし、がん患者の全身転移探索などでは保険適用可能です。なお、健康保険組合や自治体など、各種団体で人間ドックを受診する場合は、DWIBS検査の費用を一部負担してくれる場合もあります。

人間ドックなどの検査の結果、別途精密検査が必要となった場合には、その精密検査は保険適用されるケースがありますが、DWIBS検査を再度行うことになったとしても、そのDWIBS検査自体は保険適用外となります。

 

DWIBS検査費用の相場

DWIBS検査単体の費用相場は5万円から8万円前後です。乳がんを対象とした乳腺DWIBS検査の費用相場は2万円から3万円前後となります。

さらに広い範囲を調べるために、DWIBS検査に脳ドックや腫瘍マーカー検査と組み合わせた検査コースを設定している場合もあり、その場合は費用十数万円となるコースが多いでしょう。医療施設によってDWIBS検査の費用には差がありますので、事前にしっかり確認しましょう。

 

DWIBSの利点

・被ばくがない
・検査費用が安価
・食事制限が不要
・注射(投薬)が不要
・糖尿病の方でも受けられる
・PET-CTで見つけることができない尿路系(腎臓、尿管、膀胱)がんに対応できる

DWIBS検査はPET-CTと異なり、薬剤投与を要せず、放射線被ばくを伴わないため、安心してがんの全身検索検査を受けることができるという利点があります。

 

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DWIBSの欠点

・ペースメーカーなどの体内金属がある方は受診出来ない
・検査を受けられる医療施設が限られている
・がんだけでなく炎症なども検出されるため、他の検査結果と総合してがんか否かを判断する必要がある
・検査部位によっては正確な検査結果が得られない場合がある(胃がんや肺がんの検査には不向きである)

DWIBSを含め、様々な医療検査にはそれぞれ得意・不得意な部位があります。よって、医師の判断に基づいて適切な検査の組み合わせで総合的に結果を判断する必要があります。

 

まとめ

DWIBS検査はMRIを用いた「全身のがん検査」です。尿路系がんの診断に強く、PET-CTより短時間で検査が可能で、被ばくも無いという特長を持っています。ただ、DWIBS検査にも不向きな部位があることや、検査自体を受けられない人もいますので、事前に医師に相談し、適切な検査方法で受診することが極めて重要です。

 

 


 

📚参考サイト

人間ドックなび(https://www.docknet.jp/media/pet-6/
八王子クリニック(https://hachicli.or.jp/dock/dwibs.html
人間ドックのミカタ(https://www.mrso.jp/mikata/862/
東京西徳洲会病院 放射線医学センター(https://www.tokyonishi-hp.or.jp/section/radiology/5/
日本放射線科専門医会・医会(https://www.jcr.or.jp/fee_web/2020/1_appendix.pdf

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